落とし物を拾ったらどうすべきか?(管理者がいる場所といない場所での処理が違い)

外で落とし物を拾ったらどうすると思いますか。

何となく警察に届けないといけないと考えているが詳しいことはわからないというのがほとんどの人の認識ではないかと思います。

実は,管理者がいる施設と,その他の場所では,物を拾った後の手続きが違います。

そこで,本稿では,管理者がいない場所,管理者がいる施設内の順に落とし物を拾ったらどうすべきかについて検討したいと思います。 “落とし物を拾ったらどうすべきか?(管理者がいる場所といない場所での処理が違い)” の続きを読む

交通事故加害車両がタクシーの場合に無茶な主張がなされる理由

交通事故被害に遭われた場合,法律上,加害者が被害者が被った損害を賠償する必要があります。

この点,被害者は,加害車両がタクシーの交通事故の場合,加害車両が一般自動車であれば被らなかったであろう二次被害を受けることが多々見受けられます。

それは,タクシー会社の多くが,保険会社の自動車保険に加入せず,タクシー共済に加入していることによるものです。

どういうことか,以下説明します。 “交通事故加害車両がタクシーの場合に無茶な主張がなされる理由” の続きを読む

弁護士に最も必要とされる能力は事件のスジ(勝ち筋か負け筋か)の判断力である

弁護士の最も重要な能力は何だと思いますか。

法律知識でしょうか,書類作成能力でしょうか,尋問能力でしょうか。

いずれも弁護士に要求される重要な能力ではありますが,最も重要な能力という意味では違います。

弁護士に最も重要な能力は事件を見立て,勝ち筋か負け筋かを判断する力です。

一般の方にはわかりにくいかと思いますので,以下具体的に説明します。 “弁護士に最も必要とされる能力は事件のスジ(勝ち筋か負け筋か)の判断力である” の続きを読む

紙にハンコを押印することの法律上(実体法・手続法)・実務上・慣習上の意味とは

新型コロナウイルスの蔓延により在宅勤務・テレワークが広がっています。

そんな中,紙の決済書類等に押印が必要であるためにやむなく出社しているなどという声もあり,日本のハンコ文化が非効率性の象徴として注目されています。

ペーパレス化を志向しているはずのIT担当大臣が,紙を必要とするハンコ議連の会長であるなどと言った理解に苦しむ人選もまた,話題性を提供しているようです。

日本におけるハンコの文化的位置づけは置いておいて,本稿では,ハンコ・押印の法律的な位置づけについて考えていきたいと思います。 “紙にハンコを押印することの法律上(実体法・手続法)・実務上・慣習上の意味とは” の続きを読む

反抗期を迎えて手に負えなくなった子供に親はどう接するべきか

弁護士業をしていると,少なからず非行少年と関わります。少年事件を介してであることが多いのですが,一般民事事件の依頼者・相手方・関係者であることもあります。

自分と違う世界で生きてきたということもあり,非行少年と話をすると,色々考えさせられることがあります。

本稿では,自分の子供が非行に走ってしまった場合,親としてはどう対処すべきかについて,業務を通じて関与した一弁護士の立場から考察してみたいと思います。 “反抗期を迎えて手に負えなくなった子供に親はどう接するべきか” の続きを読む

個人事業主・会社経営者である親族・友人から金を貸してと頼まれたらどうすべきか?

世界中で新型コロナウイルスが蔓延し,その感染防止のため,経済活動の自粛要請が出ています。

これにより,経済活動が縮小し,中小零細企業を中心とする多くの企業・事業者において,急速な資金繰りの悪化が始まっています。

そんな中,経営が苦しくなった個人事業主・会社経営者(以下,「事業主」といいます。)の方が,親しい友人・知人や親族(以下,「友人等」といいます。)に対して,「すぐに返すから」などと言って金策をお願いしている事例が散見されます。

では,金策をお願いされた人は,よく知っている,あるいは信頼している人だからといって安易にお金を貸していいのでしょうか。 “個人事業主・会社経営者である親族・友人から金を貸してと頼まれたらどうすべきか?” の続きを読む

仮眠時間は労働時間か(不活動時間分の賃金請求の可否)

長距離ドライバー,宿直を伴う警備員・医療従事者などの場合,労働契約上,実作業に従事しない不活動仮眠時間が設定されている場合があります。

実際の労働契約においては,この仮眠時間については,労働時間外として賃金支払計算から除外されていることがほとんどだと思われます。

では,この仮眠時間はすべて労働時間ではないとして賃金の支払いを要しないのでしょうか。

業務内容によっては,仮眠時間であってもすぐに業務に戻らなければならない場合もあり得ますので,一律に考えるべきではないでしょう。

そこで,以下,仮眠時間が労働時間と言えるかについて検討したいと思います。 “仮眠時間は労働時間か(不活動時間分の賃金請求の可否)” の続きを読む

採用内定取消しの法律上の位置づけ(意義・要件・効果等)について

世間では,新型コロナウイルスの蔓延によって政府より自粛要請が出された結果,日本における経済活動が縮小して多くの企業・経営者の業績が悪化しています。

そして,業績悪化に伴い,多くの企業において採用予定であった者の採用取消しがが行われているようです。

では,この企業の業績悪化に伴う採用取消しがなされた場合,採用内定者はどうすればよいのでしょうか。

以下,採用内定の法的性質,内定取消しの要件,内定取消無効の効果の順に,できるだけわかりやすく採用内定取消しの意義について説明します。 “採用内定取消しの法律上の位置づけ(意義・要件・効果等)について” の続きを読む

労働者が伝染病に感染した場合に労災保険金を受給できるか

本稿を書いている時点で,大都市を中心として日本中で新型コロナウイルスが蔓延しています。毎日のように,「新たに何名が感染しました」などというニュースが紙面をにぎわしている状況です。

もはや,他人ごとではなく,自分も新型コロナウイルス等の伝染病に罹患する可能性が高いのだということを前提として,日常生活を送る必要があります。

そこで,本稿では,不幸にも新型コロナウイルス等の伝染病に感染し,やむなく仕事を休まざるを得なくなった場合に,その補償として労災保険金の給付を受けることができるのかについて,労災保険金の給付要件,新型コロナウイルス等の伝染病罹患の場合のかかる要件充足の可否について検討したいと思います。 “労働者が伝染病に感染した場合に労災保険金を受給できるか” の続きを読む

伝染病蔓延の影響で休業に至った労働者の賃金減額の有無について

本稿を書いている時点では,大都市を中心として日本中で新型コロナウイルスが蔓延しています。

そのため,政府,地方自治体から非常事態宣言・自粛要請が出され,日本各地で,対象となる業種での営業停止・縮小が相次いでいます。

では,このような新型コロナウイルスをはじめとする伝染病の蔓延により従業員が休業するに至った場合,当該従業員の給与はどうなるのかについて,以下,場合分けして検討します。 “伝染病蔓延の影響で休業に至った労働者の賃金減額の有無について” の続きを読む