道路上において,転回車両と,道路直進車両との間で交通事故が発生した場合,その過失割合はどのように決められるのでしょうか。
以下,転回車両に,道路交通法上どのような規制が課されているかを見た上で,と,転回車両と道路直進車両の間で交通事故が起きた場合の基本的過失割合について説明をします。
【目次(タップ可)】
転回車に対する道路交通法上の規制
転回の定義
転回(Uターンのみならずスイッチターンも含まれます。)とは,従来の進行方向とは逆の方向に進行する目的をもって行われる方向転換をいいます(東京高判昭和27年6月13日参照)。
転回の方法
転回しようとする車両の転回方法については,転回を開始しようとする30m手前から合図をしなければならない(道路交通法53条1項,2項,令21条)とする以外には,特別の規制が存在していません。
転回が禁止される場合
道路交通法上,転回が禁止される場所及び状況についての規制が存在しますが,その他の規制は特に存在していませんので,以下の転回禁止場所・転回禁止の状況下でなければ,転回を禁止されません。
① 場所による規制
道路標識等(標識令・規制標識・規制標示)により転回禁止とされた場所においては,転回が禁止されます(道路交通法25条の2第2項)。
もっとも,道路交通法上,同所以外に転回禁止規制場所は存在しませんので,右折禁止場所であっても,転回禁止場所には当たりません。
② 状況による転回禁止規制
転回をすることにより,歩行者が立ち止まったり,他の車両等の交通を妨害するおそれがある状況下(急ブレーキをかけたり急ハンドルを切ったりする必要がある場合)では転回が禁止されます(道路交通法25条の2第1項)。
もっとも,道路交通法上,同所以外に状況による転回禁止規制は存在しませんので,対面右折矢印信号表示下でも,転回は規制されません。
転回車との直進車との交通事故の場合の基本的過失割合
転回車(転回中・転回終了直後)と道路直進車との交通事故の基本的過失割合は以下のとおりです。
なお,以下は,Uターンの場合の過失基準であり,スイッチターンは複雑な動作を行っているため以下の基準ではなく状況に応じて後退や道路外侵入車の基準を参考にして検討するとされています。
転回中の転回車との事故の場合
① 転回車・転回中(四輪車)80%:道路直進車(四輪車)20%
別冊判例タイムズNo.38(全訂5版)【155図】参照
② 転回車・転回中(四輪車)90%:道路直進車(単車)10%
別冊判例タイムズNo.38(全訂5版)【229図】参照
③ 転回車・転回中(単車)70%:道路直進車(四輪車)30%
別冊判例タイムズNo.38(全訂5版)【230図】参照
④ 転回車・転回中(単車・四輪車)90%:道路直進車(自転車)10%
別冊判例タイムズNo.38(全訂5版)【308図】参照
⑤ 転回車・転回中(自転車)50%:道路直進車(単車・四輪車)50%
別冊判例タイムズNo.38(全訂5版)【309図】参照
転回終了直後の転回車との事故の場合
① 転回車・転回終了直後(四輪車)70%:道路直進車(四輪車)30%
別冊判例タイムズNo.38(全訂5版)【156図】参照
② 転回車・転回終了直後(四輪車)80%:道路直進車(単車)20%
別冊判例タイムズNo.38(全訂5版)【231図】参照
③ 転回車・転回終了直後(単車)60%:道路直進車(四輪車)40%
別冊判例タイムズNo.38(全訂5版)【232図】参照
昼間、東京都・日比谷通り上り車線増上寺前の青信号でUターンし取締にあいました。転回禁止の道路標示は70メートル手前に1ヶ所あるだけで、Uターン禁止の道路標識はありません。一時停止前から約48メートル間中央車線がゼブラゾーンがありその中には赤いポールが50本立っています。交差点一時停止線から道路標示まで70メートルもあり転回禁止と言えますか。
荒木 泰男 様
記事に記載しましたとおり,転回禁止は,場所そのもので記載される場合と,状況によって規制される場合があります。
この点,残念ながら,私は関西にて居住・稼働しており,ご主張いただいております場所に土地勘がないため,場所規制についての確定的な回答はできません。
また,ご質問いただいた当時の状況も不明であるため,状況による規制も不明です。
以上より,場所的・状況的に明らかとなっていいない状況下で,ご質問に断定的に回答することはできません。
申し訳ありません。
Uターン禁止規制標識は信号のとなりにあり道路上の規制標示は路上にペイントされてなく数日後にペイントされてました。また中央分離帯にも規制標識もありませんでした。信号の反対車線には道路上にUターン禁止の標示がありました。路上にペイントが無いと文句をいいましたがUターンして切符を切られました。