交通事故の際の衝撃によって,胆のうが損傷した場合に,胆のうが摘出される場合があります。
交通事故によって胆のうに摘出に至った場合,損害賠償上はどのように扱われるのでしょうか。
以下,胆のうとは何か,胆のう摘出の場合の後遺障害等級の順についてみていきましょう。
【目次(タップ可)】
胆のうとは
胆のうは,肝臓と十二指腸をつなぐ管の途中にある長さ約10cm・幅は約4cmの西洋梨のような形をしている臓器です
胆のうは,肝臓で作られた胆汁(脂肪を消化するために必要な緑色の液)を溜めておく働きをしており,胆汁を50~60ml貯留できます。
肝臓で作られた胆汁は,食事をしていない時に肝臓から出て総肝管を通って胆のうに入り,胆のうで濃縮され一時的に貯えられ,その後体内に取り入れた食べ物が十二指腸に到着すると,胆のうは筋肉を収縮させて胆汁を押し出された結果,胆汁は,総胆管を通って十二指腸に注がれて脂肪の分解が行われます。
胆のう摘出の場合の後遺障害等級
胆のうの摘出
胆のうは,その機能が胆汁の貯留と濃縮であることから,生命維持のために必須の器官ではありません。
そのため,胆のうが失われたとしても,日常生活上大きな問題は生じません。
そこで,交通事故により胆のうが損傷して破裂や外傷性胆のう炎等の障害が生じ,非観血的な治療が有効といえないと判断された場合(手術による切開を要すると判断された場合)には,胆のうの摘出術が施行されます。
胆のう摘出の影響
胆のうは胆汁をたくわえる臓器であるため,これを摘出すると脂肪を分解するための胆汁をたくわえることができなくなります。
そのため,胆のう摘出により脂肪分を分解する能力が低下します。
そこで,胆のう摘出後は,脂っこいものを食べた場合に下痢の症状に悩まされることがあるため,食事制限や食事摂取時間に一定の制約を受けることがあります。
胆のう摘出の場合の後遺障害等級
認定基準上,胆のう摘出の場合には,「胆のうを失ったもの」として,別表第二13級11号が存在し,これに従った後遺障害等級認定がなされます。