修理工場は交通事故車両をレッカー移動させるとレッカー代を請求できるのか

交通事故に遭った際に,修理工場がレッカー車を手配して自分の修理工場に運び,その費用としてレッカー代を請求してくることがあります(法的には,修理工場から被害車両使用所有者に対する請求権のはずですが,実際には加害者又は加害車両付保保険会社に対して直接請求してくることがほとんどです。)。

レッカー移動の必要性があり,かつ当該修理工場が一般貨物自動車運送業の許可(緑ナンバー)を持っていれば問題ないのですが,修理工場が許可を持っていない(白ナンバー)の場合も多く,この場合には支払いの要否が問題となります。

修理工場による事故車両のレッカー移動の可否の考え方

修理工場(本稿では白ナンバーであることを前提とします。)による交通事故被害車両のレッカー移動の可否の問題を考えるためには,2つの事柄に分けて考えなければなりません。

それは,①そもそも一般貨物自動車運送業の許可(緑ナンバー)を得ていない修理工場が交通事故被害車両をレッカー移動させていいのかということと,②修理工場が交通事故車両をレッカー移動させた場合にレッカー代を請求できるのかということです。

以下,この2つを順に説明します。

修理工場によるレッカー移動の可否

まず,大前提として,他人の需要に応じ,有償で,自動車を使用して貨物を運送する事業であって,特定貨物自動車運送事業以外のもの「一般貨物自動車運送事業」といい(貨物自動車運送事業法第2条),これを業として行う場合には,一般貨物自動車運送業の許可(緑ナンバー)が必要です

これをレッカーについて見てみると,事故車両をレッカー車に「積載」させる場合には貨物の運送にあたりますので,これを行う場合には許可(緑ナンバー)が必要となります。

他方,事故車両をレッカー車で「牽引」する場合には,運送ではありませんので,許可(緑ナンバー)は不要となります。

そこで,緑ナンバーを得ていない修理工場が交通事故被害車両をレッカー移動させること自体が許されるかどうかについては,「積載はNG」で,「牽引はOK」という場合分けがなされるという結論になります。

実際,JAFは白ナンバーのレッカー車により事故・故障車両のレッカー移動を業として行っています。

修理工場がレッカー移動させた場合のレッカー代請求の可否

もっとも,修理工場が牽引により交通事故被害車両をレッカー移動させることが許されたとしても,修理工場がレッカー代を請求できるかについてはまた別の問題があります。

法律上,車両をレッカー移動させた際に金銭請求をすることができるのは,一般貨物自動車運送業の許可(緑ナンバー)を得るか、又は以下の3つのいずれかを充足する場合に限定されているからです(道路運送法78条)。

① 災害のため緊急を要するとき

② 市町村(特別区を含む。以下この号において同じ。),特定非営利活動促進法(平成10年法律第7号)第2条第2項に規定する特定非営利活動法人その他国土交通省令で定める者が,次条の規定により一の市町村区域内の,住民の運送その他国土交通省令で定める旅客の運送(以下「自家用有償旅客運送」という。)を行うとき。

③ 公共の福祉を確保するためやむをえない場合において,国土交通大臣の許可を受けて地域又は期間を限定して運送の用に供するとき。

これを緑ナンバーを得ていない修理工場による事故被害車両のレッカー移動に当てはめます。

まず,交通事故が災害ではないため,修理工場が,道路運送法78条1号によってレッカー代を請求することはできません。

また,修理工場は市町村,NPO等でもないため,修理工場が,道路運送法78条2号によってレッカー代を請求することはできません。

そこで,緑ナンバーを得ていない修理工場が有償で交通事故被害車両をレッカー移動させるためには,「公共の福祉を確保するためやむをえない場合において,国土交通大臣の許可を受けて地域又は期間を限定して運送の用に供するとき。」という道路運送法78条3号の要件を充足する必要があります。

すなわち,緑ナンバーを得ていない修理工場が「牽引の方法によって」交通事故被害車両をさせた場合,レッカー費用を請求するためには,道路運送法78条3号の要件を充足する必要=有償運送許可を得ている必要があります

有償運送許可を得ていない(白ナンバーの)修理工場は,レッカー代を請求することはできません

参考にして下さい。

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