【交通事故による後遺障害】小腸の器質的障害

交通事故の際の衝撃によって,小腸が損傷する場合があります。
交通事故によって小腸に損傷が生じた場合,損害賠償上はどのように扱われるのでしょうか。

以下,小腸とは何か,小腸の器質的障害についての後遺障害等級の順についてみていきましょう。

 

第1 小腸とは

小腸は胃から大腸へと繋がる消化管であり,十二指腸・空腸・回腸という3つの部分から構成されています。

十二指腸は,長さ20~30cmの「C」字型をした腸管であり,胆汁と膵液の流入する部位です。

空腸と回腸はあわせて約6mの長さがある腸管で,上方2/5が空腸,下方3/5が回腸ですが,その境はあいまいです。

小腸の基本的機能は,食物の消化・吸収を行う器官です。

そのため,小腸に器質的障害が生じた場合には,消化・吸収機能障害が生じます。

 

第2 小腸の器質的障害についての後遺障害等級

1 小腸を大量に切除したもの

小腸は,その大部分を空腸と回腸が占めてますので,原則として,残存する空腸及び回腸の長さにより後遺障害等級認定がなされます。

①残存する空腸及び回腸の長さが100cm以下となったもの:別表第二9級11号

②残存する空腸及び回腸の長さが100cmを超え300cm未満となったものであって,消化吸収障害が認められるもの:別表第二11級10号

2 永久人工肛門を造設したもの

人工肛門を増設した場合,排便機能が喪失されるとともに,人工肛門増設部以降のぶいからの栄養・水分の吸収が障害されるため,後遺障害等級認定がなされます。

①小腸内容が漏出することによりストマ周辺に著しい皮膚のびらんが生じ,パウチ等の装着ができないもの:別表第二5級3号

②人工肛門を造設したもので前記①に該当しないもの:別表第二7級5号

3 小腸皮膚瘻を残すもの

①瘻孔から小腸内容の全部又は大部分が漏出するもので,小腸内容が漏出することにより小腸皮膚瘻に著しいびらんを生じ,パウチ等の装着ができないもの:別表第二5級3号

②瘻孔から小腸内容の全部又は大部分が漏出するもので,前記①に該当しないもの:別表第二7級5号

③瘻孔から漏出する小腸内容がおおむね100ml/日以上のもので,小腸内容が漏出することにより小腸皮膚瘻数編に著しいびらんを生じ,パウチ等の装着ができないもの:別表第二7級5号

④瘻孔から漏出する小腸内容がおおむね100ml/日以上のもので,前記③に該当しないもの:別表第二9級11号

⑤瘻孔から少量ではあるが明らかに小腸内容が漏出する程度のもの:別表第二11級10号

4 小腸の狭さくを残すもの

①小腸の狭さくが残存し,1か月に1回程度,腹痛や腹部膨満感などの症状が認められ,単純レントゲン像において,ケルクリングひだ像(多数の輪状のひだ)が認められるもの:別表第二11級10号

5 小腸の器質的障害についての後遺障害等級まとめ

切除 人工肛門造設 小腸皮膚瘻 小腸の狭窄
5級3号 小腸内容が漏出することによりストマ周辺に著しい皮膚のびらんが生じ,パウチ等の装着ができないもの 瘻孔から小腸内容の全部又は大部分が漏出するもので,小腸内容が漏出することにより小腸皮膚瘻に著しいびらんを生じ,パウチ等の装着ができないもの
7級5号 人工肛門を造設したもので5級3号に該当しないもの ①瘻孔から小腸内容の全部又は大部分が漏出するもので,5級3号に該当しないもの、 又は

②瘻孔から漏出する小腸内容がおおむね100ml/日以上のもので,小腸内容が漏出することにより小腸皮膚瘻数編に著しいびらんを生じ,パウチ等の装着ができないもの

9級11号 残存する空腸及び回腸の長さが100cm以下となったもの 瘻孔から漏出する小腸内容がおおむね100ml/日以上のもので,7級5号に該当しないもの
11級10号 残存する空腸及び回腸の長さが100cmを超え300cm未満となったものであって,消化吸収障害が認められるもの 瘻孔から少量ではあるが明らかに小腸内容が漏出する程度のもの 小腸の狭さくが残存し,1か月に1回程度,腹痛や腹部膨満感などの症状が認められ,単純レントゲン像において,ケルクリングひだ像(多数の輪状のひだ)が認められるもの



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