孫養子での相続税節税とその限界とは

「最高裁で節税目的の養子縁組が認められたので自分も養子を増やして節税したい。」との相談が,最近続けてありました。

要するに,孫を養子にして相続人の頭数を増やして,相続税よ基礎控除額を増やしたいという相談です。

この相談に対する回答は,「養子の数をいたずらに増やしても基礎控除は増えませんので,相続税の節税にはなりません。」なのですが,多くの人が誤った理解をしています。 “孫養子での相続税節税とその限界とは” の続きを読む

交通事故被害に遭った場合に認定される治療関係費の範囲

交通事故被害に遭った場合に,加害者から賠償を受けられる(交通事故との間で相当因果関係が認められ,認定される)治療関係費は,被害者が,事故に起因して負った傷害のうち,治療の必要性・相当性が認められる範囲のものをいいます。 “交通事故被害に遭った場合に認定される治療関係費の範囲” の続きを読む

交通事故被害者が成年後見人選任を要する状態となった場合に加害者が負担する後見費用の範囲

交通事故により被害者の行為能力に障害が生じて成年後見人選任が必要となる事態が生じた場合,加害者は,被害者の成年後見人選任及び後見事務に関する一連の費用のうち,いかなる範囲でこれを負担しなければならないのでしょうか。 “交通事故被害者が成年後見人選任を要する状態となった場合に加害者が負担する後見費用の範囲” の続きを読む

【工場代車】交通事故加害者が被害者使用の工場代車代の賠償義務を負わない理由

交通事故加害事故を起こした場合,被害者から,被害者運転車両の修理期間中,修理工場から工場代車を借りたので,その工場代車代を支払うようにと請求されることがあります。

もっとも,交通事故加害者は,交通事故被害者からの工場代車代支払請求に応じる必要はありません。

以下,その理由を説明します。 “【工場代車】交通事故加害者が被害者使用の工場代車代の賠償義務を負わない理由” の続きを読む

無免許運転が交通事故損害賠償での過失割合にどのように影響するか(裁判例の基本的な考え方も)

わが国には,「何人も,…公安委員会の運転免許を受けないで(…運転免許の効力が停止されている場合を含む。),自動車又は原動機付自転車を運転してはならない。」との法律があり(道路交通法64条1項),これに違反して,無免許運転をした場合,刑事上,1年以下の懲役又は30万円以下の刑事処分を科せられることとなります(道路交通法117条の4第2号)。なお,ここでいう無免許とは,運転訓練を経ない無免許に限られず,些細な交通違反を重ねて免許停止の処分を受けている者も含まれます。

では,無免許運転の場合,民事上は過失割合にいかなる影響を及ぼすのでしょうか。無免許運転の事実により,直ちに同運転者に不利益な過失修正がなされるのか問題となります。

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交通事故損害賠償請求事件において過失相殺は裁判所の義務か

交通事故が発生した場合,通常は,各人の損害額に当事者双方の過失割合を乗じて賠償額を決します。

もっとも,交通事故損害賠償請求事件において,何らかの理由で一方当事者が過失主張をしない場合があります。

では,一方当事者が過失主張をしない場合に,裁判所は職権で過失相殺ができるのでしょうか,またはしなければならないのでしょうか。 “交通事故損害賠償請求事件において過失相殺は裁判所の義務か” の続きを読む

交通事故による後遺障害慰謝料計算額の相場(赤本・青本・緑本では同じ自賠責等級でも裁判基準額・弁護士基準額が異なる)

交通事故被害に遭い,不幸にも後遺障害が残ってしまった場合,加害者に対して,自賠責保険又は裁判所によって認定された後遺障害等級に応じて後遺障害慰謝料を請求できることはよく知られています。

もっとも,この後遺障害慰謝料が,同じ等級であっても,赤本(東京基準),緑本(大阪基準),青本で微妙に違っていることは意外に知られていません。

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酒気帯び運転・飲酒運転は交通事故の過失割合にどのように影響するかを裁判例の修正率を基に検討する

わが国には,「何人も,酒気を帯びて車両等を運転してはならない。」との法律があり(道路交通法65条1項),これに違反して酒気帯び運転をした場合,刑事上,5年以下の懲役又は100万円以下の刑事処分を科せられることとなります(道路交通法117条の2第1項)。

では,この酒気帯び状態で交通事故を起こした場合,民事上は過失割合にいかなる影響を及ぼすのでしょうか。酒気帯び運転の事実により,直ちに同運転者に不利益な過失修正がなされるのか問題となります。 “酒気帯び運転・飲酒運転は交通事故の過失割合にどのように影響するかを裁判例の修正率を基に検討する” の続きを読む